「へいよー へいよー たっちょんどー
みみちりぼーじぬ たっちょんどー」
昔々、沖縄を恐怖におとしいれた妖怪「耳切坊主」は、伝説の忍者「ニンブチャー」によって退治された。
しかし、「耳切坊主」はまだ消えていなかった…
耳切坊主は「北谷菜切」という、振るだけで全てを切ってしまう不思議な力を持った刀を手に入れ、伝説の忍者を倒し、再び沖縄を恐怖で満たそうとしていた。
そうとはしらない、伝説の忍者の孫「忍者兄妹」は、今日も手裏剣の修行中…
はたして、彼らに沖縄の平和を守れるのだろうか!?
「新・北谷菜切伝説」概要
妖刀「北谷菜切(ちゃたんなーちりー)」の 昔話と妖怪「耳切坊主(みみちりぼうじ)」の昔話を基にした創作劇。
物語の元になった伝説
妖刀 北谷菜切(ちゃたんなーちりー)
琉球王国三大宝刀の一つ。伝承では、北谷の農婦が包丁を振ったところ、触れてもいないのに赤子の首を切って殺してしまった。
取調べを受けたが無実を訴え、役人が試みに山羊に向かって包丁を振ったら 同じく首が切れ、そこで農婦は放免された。
この包丁を刀に鍛え直したものが、北谷菜切であるという。
妖怪「耳切坊主」
伝説では琉球王朝時代に首里にいた黒金座主(くるがにざーし)という僧の事。
その僧が怪しい術を使って女性をたぶらかし襲っているという事に怒った琉球王が北谷王子に彼の殺害を命じた。
北谷王子は黒金座主に囲碁の対局を持ちかけ、黒金座主は両耳を、北谷王子は髷をそれぞれ賭けた。黒金座主が怪しい術で北谷王子を眠らせようとしたところを逆に北谷王子が黒金座主の両耳を切り落として殺した。
その後、黒金座主は幽霊となって北谷王子の住む大村御殿を囲う石壁の角に夜な夜な現れた。またそれ以来、大村御殿には男の子が生まれるとすぐ死ぬという事が続き黒金座主の呪いだと言われたという伝説である。
幽霊は別として登場人物は実在しており十八世紀頃の事とされる。
本編解説
琉球忍者…念仏によって霊を鎮魂する「念仏衆(ニンブチャー)」として、何度も甦る耳 切坊主を、念仏によって代々封印してきたものたち。今回は未熟な忍者兄妹が耳切坊主退治を任される。
北谷菜切…耳切坊主を退治したとされる妖刀。この刀を振るだけで触れていなくても切れてしまう。現在は年に一度、博物館で展覧会が行われている。
耳切坊主…元々は「黒金座主」という坊主だったが、悪さばかりしていた為、琉球国王の命により、北谷王子の持つ北谷菜切で耳を切られ死亡。しかし、北谷王子と琉球国王への怨みから妖怪になった。北谷王子の子供たちを呪い殺すも念仏衆に退治され封印される。今回は念仏衆に復讐するため北谷菜切を手に入れる。
耳切坊主の手下…妖怪。元々は酒好きな僧兵、男好きな祈祷師。
鎮魂の儀…悪霊を封印の儀式として、念仏踊りを起源にもつエイサーを踊る。